たま欄

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【映画】ドリーム 感想 1961年の偉業が2016年に映画公開されたという闇。差別という根深い問題。

ゴールデンウィーク、映画三昧、ドラマ三昧にしようと思っていたつもりが、年末には忙しくてできない大掃除に手をつけてしまい、結局あまり観られていません。。

おかげで家の中は着々と綺麗にはなっていますが、もう色々観る時間が減ってきた。焦る。

でも、レンタル品は返さなきゃいけないので、なんとか返す前に観ることができました。

日本の配給会社が変な邦題をつけた案件で炎上した(詳細は割愛)『ドリーム』です。

今回、借りた中で一番面白かったというか、映画としての完成度が高かったです。

 

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(画像は公式サイトにリンクしています)

 

公式サイトでは、感動サクセスストーリーっぽくポップに予告編が仕上げられていますが、そういう話でないこともないけど、わたしはとにかく切ない気持ちで作品を観ていました。予告編は重い話だと食いつきが悪いから、わざと軽いイメージで作られたような気がします。

実話を元にした作品ということもあるのか、作品のベースはそこまで重くはないのですが、内容は胸に刺さりました。

わたしが、非白人であり、働く女だからだと思います。

なので、日本のほとんどの女性にも響くものがある作品だと思います。

 

画像検索したらこのポスターが一番気に入ったので、このポスターをメインに上げさせてもらいました。

主役はポスターの中心にいる、キャサリン

生まれつき天才的な頭脳を持ち数学者としてNASAに配属されます。

両隣の二名は同僚で、向かって左のボブヘアーの女性は、学位を持ちエンジニアを目指すメアリー。

向かって左のグリーンのドレスの女性は、NASAで働く黒人女性グループをまとめるリーダーを勤めるドロシーです。

それぞれの優秀な女性たちが、非白人であり、女性であることに立ち向かいながら、自分の能力で、努力で、必死に働く姿を描いた今作品。

三者三様それぞれ美しいのですが、主人公のキャサリンが特に色んな意味でとても美しい女性だと思いました。

 

実際の史実では当時のNASAは、差別主義が撤廃傾向にあったらしいのですが、映画をわかりやすく見せるため、差別の部分が色濃く描かれています。でも、この程度の差別はおそらく日常茶飯事だったと思われます。

 

今まで色々な作品で差別問題が描かれてきたと思いますが、この作品は日常的な差別をわかりやすく描いていた気がします。

基本的に、白人以外の人種は、公共の場では受けられるサービスが全然違い、学校、図書館、公共の乗り物、はては水飲み場、トイレまで。白人用とそれ以外に分けられる。白人用のトイレは豪華で綺麗、非白人用のトイレは簡素で質素。

これがけっこう衝撃的で。

日々、白人に気を使いながら、ご機嫌をうかがいながら生活を送る非白人たち。

自分で選んで白人に生まれてきたわけではないのに、その恩恵を当たり前のように享受し、白人以外は生きさせてくれてありがとうぐらいの気持ちで生きろ!という環境だし、同じ仕事をする非白人が、被っている不利益にも気づかないわけです。更には、性別が女であるということによるハンデ。

今とは違い、命の危険がありますから。

白人が非白人を襲ったところで、罪は軽かったことは想像に難くないです。

自分が非白人であり、女であるということと、そういう環境であるということを受け入れたうえで、その環境の中で精いっぱいそれでも自分のやりたいことをあきらめなかったという女性たちには本当に頭が下がります。

キャサリンが自分の不遇を周りに訴えるシーンは切なすぎて泣きました。

 

ちょっと、ネタバレをしてしまって申し訳ないのですが、ドロシーが、同じ職場で働く白人の女性に「誤解してるかもしれないけど、わたしは偏見はないのよ」とドヤ顔で言われるシーンがあり、その女性に対してのドロシーのセリフが「わかっています。そういう風に思い込んでいるということは」と苦笑いで返すシーンがあるのですが、このシーンがわたしはかなり印象深いシーンでした。

差別をするもの、差別を受けるものの意識の違いをこのセリフ一つで現していると思いました。

 

そういった先人の女性たちが頑張ったから、今の環境があるということは感謝の念しかないのですが、当時から50年以上経った今でも、そこまで極端ではなくとも同じようなことがあるということと、1961年から50年以上経過して、偉業がこんなにも大々的に明かされたということに、闇を感じずにはいられませんでした。

なぜ、もっと早く称賛されなかったのか。敢えて隠していたとしか思えない。

この一人の天才が、白人で男性だったらもっと早く英雄として映画化されていたのではないのだろうかと思う作品でした。

 

 

 

 

 

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